20歳のときに知っておきたかったこと

  • スタンフォード大学集中講義
  • 原題:WHAT I WISH I KNEW WHEN I WAS 20: A Crash Course on Making Your Place in the World
  • 著者:ティナ・シーリグ (Tina Seelig)
  • 訳者:高遠裕子
  • 阪急コミュニケーションズ
  • 2010年6月16日初版第14刷

 解説は三ツ松新さん。
 全編にわたって、解説も含めて、そこそこ面白かった。
 起業を念頭においたものではあるのだろうけれど、そのためのハウツーというより、事例集と、だから君にもできるよ、というメッセージを含んでいるように感じた。
 始めてみれば、始まる、っていうことや、よく見回せば改善点が見つかるとか、そういうような内容がつらつらと書かれているように思う。
 読んでいる間は、それそれの事例が面白くもあったけれど、読み終えて感想めいたものが特に思い当たらなかった。この本から何かを得るのではなく、この本に書かれているようなこともあるのだな、と思うくらいだろうか。事例を知っていれば、いつかは何かの役に立つかもしれない。

ツイッターノミクス

  • 原題:THE WHUFFIE FACTOR
  • 著者:タラ・ハント (Tara Hunt)
  • 訳者:村井章子
  • 解説:津田大介
  • 文藝春秋
  • 2010年3月10日第1刷

 なんでこんな邦題になってしまったのか。極めて残念でならない。
 ツイッターの本ではない。
 ツイッターノミクスという言葉さえも、邦題と第11章の邦訳での章題と、あとは解説にしか存在しない。第11章の章題は原書では "WHUFFIE IRL"で、IRL は "in real life" だと注釈がある。というのを amazon で確認した。
 いったい、誰が、まったく本書に相応しくないどころか、著しく内容を傷つけるようなタイトルを付けたのだろうか。下らない上にセンスの皆無な造語まで使って。面白い本だっただけに、こんな邦題は許し難く思える。翻訳も読みやすかったので、殊更である。
 本書を手に取るきっかけになったのは、CNET Japan だったと記憶しているが、著者へのインタビュー記事を読んだことだ。コミュニケーション能力とかがバズって久しい世の中だが、それが何なのかが曖昧なまま他人を責める便利ワードと化しつつあるように感じていたところ、ウッフィーという産物からの観点でうまくコミュニケーションというものを説明した本だろうと思い、タイトルを見て苦笑した。
 内容は原題のとおり、ウッフィーについてである。主に信頼や忠誠という表現が併用されているが、恩や恩義と考えても良いかもしれない。あるいは称賛などである場合もあろう。これを目的としてコミュニケーションすることで好循環を生むという話であり、良い物を良い方法で提供すれば利益が上がるという話の延長上にある。ただし、良し悪しの情報が、より個人的なルートでより具体的により速く伝達するようになっているからコミュニケーションとして見やすいということだろう。
 肝心なのは、そのものの良さを伝えられるかどうかだろうと思う。とにかく良いから、とか、みんな使っているから、とか、有名な誰かが持っているから、とかではなく。それができれば、ウッフィーのやりとりは成立するだろうし、できなければ大衆が少数派を無視しておしまいだろう。多数に安寧があれば、やがてウッフィーの循環は薄れてしまうだろう。少数派には良さを主張する能力が必要だし、大衆にはそれに耳を傾ける能力が必要だ。
 本書は、さもビジネス書のようである。経済書と言うのかな。ともあれ、実体がそうでないことは読めば分かる。経済的な面は、そのうちついてくる、くらいしか述べられていない。本書で言う成功とは、ウッフィーをより得ていること、換言すれば人気があることだ。だから、人望を得るための本とか、集団を運営する方法の本とか表現すれば合っているように思う。そして、それが面白い人が読めば、面白い本である。

ソフトタッチ・オペレーション

 表紙買いである。可愛い。
 チョーモンインというシリーズらしいが、他を読んだことがない。探してみたいと思った。
 なにしろキャラクターが実に愛らしい。チョーモンインのメンバーが出ていない部分が、なんだか面白くなく感じるくらいに。とはいえ「闇からの声」のように、ほとんど出てこない作品でも、読みやすく、入りやすく、巧みな文章で楽しめる。
 収録作は以下の5作。短編4作と表題作が中篇。

  • 無為侵入
  • 闇からの声
  • 捕食
  • 変奏曲〈白い密室〉
  • ソフトタッチ・オペレーション

 加えて、あとがきと、松尾由実による解説。
 超能力の話でミステリになるのか、という疑念もあったが、構造としては超能力の作用の説明があったうえで、それを行使したのは誰か、といった形式が多く、立派なミステリだと思う。ジャンルについては詳しくないので知らないし、どうでも良いが、推測と解決を楽しむことができたのは確かだ。
 そういった中でもバリエーションが様々あって、表題作は超能力が関係なさそうな部分が長い。神麻などもほとんど出てこないが、主役のフェティシズムが面白く、不思議と読めてしまう。
 ともかく面白かった。シリーズを遡ろうと思う。

ベン・トー

 これは腹が減る。
 半額弁当なのだけれど、あるいはカップ麺なのだけれど、味わいに関して実に巧みに胃袋を刺激してくる。
 教室のシーンはつまらなかったが、しかしスーパーと特に部室のシーンが良かった。

日本辺境論

 ウチダ先生は面白いなあ。
 最初の「「大きな物語」が消えてしまった」に興味を持ったので読んだ。
 全体的に、面倒くさい奴が面倒くさいんだなあ、っていう伴奏がありつつ、自己中心的でないことの利点と欠点を等分に眺めつつ、いやあ辺境だよね、といった内容。だと思う。
 養老孟司唯脳論」みたいな、研究者や学者が考え込みすぎて頭がいっちゃったけど、実に原理的で汎的な話が読める、面白い本でした。

態度が悪くてすみません

 あちこちに載せた文章を寄せ集めたものとのこと。
 なので、つながりがあるような、無いような。「日本辺境論」と合わせて、著者がどういう考えなのかを読もうと思って買ったので、その点では話題のバリエーションがあって良かったとも言える。でもなんかいまいち。
 あとがきに掲載先が書いてあったり無かったりするが、初出時の文脈とかをそれで補いつつ読んだ。「シャイネスの復権」あたりはとても面白かった。
 いまは「日本辺境論」を読んでいる。実に面白いのだけど、やっぱりそっちも背景知識が不足しているようで、良く分からないところもあるので、考えつつ読み進めている。同じようにして本書も読んだ。なんにしても、著者の考えは面白いし、一部を除いて納得もいく。
 ぱらぱらと著者を眺めるには良い書だと思う。

僕は友達が少ない2

 なんだかんだ言いつつも読みました。
 志熊理科が面白く可愛い巻。あとちっこい子たちの取っ組み合いとかは微笑ましい感じか。
 メインヒロイン二人はどちらかというと、大人しかったような印象がある。一巻ほどのインパクトはさすがに無いのかもしれない。読み手の問題として。
 しかしリレー小説あたりとか、なんか突き抜ける前に力尽きたような感じで、いまいち半端な気がする。
 イラストがいちいちエロい。