花押のせかい

  • 著者:望月鶴川
  • 朝陽会
  • 2005年6月1日第一刷発行

 花押というものがあることを、ふと思い出した。
 Web で調べていたら紹介されていた本である。本書は花押についての入門書と言える。著者は花押の書き方を教えたり、依頼に応じて花押を作ることが仕事であるそうな。独自に花押を分類したり、横書きに合わせた花押を考案した人だとか。その著者の分類によって本書では花押が解説されている。
 始めの方では歴史上で使われた花押がいくつか紹介され、その後は著者の分類による解説が「義経」を花押にした場合を例に書かれ、次いで花押を作る際のアドバイスがあり、書き方のアドバイスもある。最後に現代において花押がどのように使われているかの例がいくつか紹介されている。
 56ページと57ページに書かれている草名新体は特に素晴らしいと思った。文字が絵になっており、想像力(創造力)の自由な飛翔が感じられる。こんな花押を自分も作って使ってみたいと思う。
 あまり深く詳しく書かれているわけではないが、面白い本だった。ただ、たった一点だけ残念だったのは、著者の文章が実に下手くそで、ほとんど無い文章を読むのが少し疲れたことだ。
 自分の花押を考えたい。