時効警察オフィシャル本

 テレビドラマの本。放映されていたのはしばらく前になるはずだから、今になってこんな本が出ていることに少し驚き、でも DVD が6月に出るしなぁ、とかなんとか。
 しかし DVD の CM をするための本というような薄っぺらい内容ではない。非常に楽しめた。
 主演、オダギリジョーへのインタビューから始まる。続けてヒロイン、麻生久美子。両氏とも、作中で扮する霧山修一朗と三日月しずかによく似ていると思った。見た目のことではなく。
 次の三木聡へのインタビューから、だんだんと作品の内容について話が深まってゆく。全話解説でストーリーダイジェストと各話監督へのインタビューがあったり、作中の小ネタについて事細かに解説されている。トドロキ探偵がどうのというコーナーが各話解説についていて、半ばウザいなぁとも思いつつ、しかしながら連想ゲームのように様々の作品と『時効警察』との関連が述べられており、主に映画方面だが、その知識量にはさすがと思った。欲を言うなら、関連するわけの説明をもう少し入れてもらいたかったが、これは私が映画に詳しくないからなのかもしれない。だが、知らないので、ちょっと何を言っているんだこの人は、という感覚になった。ので、半ばウザかった。反面では知らない世界を垣間見れて面白くはあったけれど。
 最も興味深かったのは、各監督へのインタビュー。三木聡岩松了園子温塚本連平ケラリーノ・サンドロヴィッチ。プロデューサー横地郁英へのインタビューは少し短い気がしたが、それは置いておく。私としては、これらの監督の名前を知ることができただけでも収穫ではあるが、それぞれで少しずつ視点が違い、それがどんどんと各話へ反映されていながら、大枠の『時効警察』であるという部分はブレることがなく、むしろそうして徐々にアイデアの坩堝となることで作品が深化していくような、そんな印象を持った。
 また、ドラマでは無い、映画のようなセットや撮影方法で収録されていたという。豪華だと思う一方で、予算的問題をよく乗り越えられたなぁとも思う。ああそうか、だから DVD を買えばいいのか。うーむ、本書を読む前から買いそうだと思っていたが、買うかなぁやっぱり。未放送映像とか見たいし。
 というわけで、時効警察の面白さに時効は無いと言っても過言ではないのだ!