bad cat

  • 著者:James Edgar
  • Workman Publishing Company

 猫、である。
 244枚のワルそーな顔をした猫たちの写真と彼らのプロフィールに、台詞が添えられている。あるものは露骨に挑発し、あるものは誘惑し、あるものは弁解し、あるものは脅迫し、あるものは愚痴をこぼし、といった具合に。プロフィールがまた愉快である。名前と年齢と趣味が記されている。皆、奇妙な趣味を持っている。笑える。
 実を言えば、意味の分からない部分がほとんどではある。なにしろ全部英語だ。ところによりスラングらしきものもある。略語もあるし、米国の常識的知識に依拠している部分もあるだろう。だがまあ、そういうのは別に構わないように思う。全てを間違いなく読むことが、そんなに重要ではなかろう。日本語の文章に対しては誤読の自由が許されても、外国語の文章に対してはそれが与えられないわけでもないだろうし、意味の分かるところも多々あって、誤解かもしれないとはいえ、実に楽しめた。
 悪魔にも神の使いにもなってきた(というか彼らからすれば勝手にそうされてきたのだろうが)猫たちの皮肉のきいた笑い顔やふてぶてしい態度、そして澄ました表情は、それだけでも面白いが、添えられた台詞で笑えて、飽きずに読みきることになってしまう。
 まあ何度か読み直しながら、ゆるりと読み解いていくことにしよう。面白い本だった。