ダブルブリッドVII

 大きなくまさんの話。なんだかもう優樹と太一朗の話では無くなってしまっていて、それがまた二人の断絶であって、喪失感が読中ずっとあった。
 それと、言葉数もどんどんと減っているように思う。単に八牧がメインだったからかもしれないが、地の文でも、とくに終わり方などは、すっぽりと喪失した感覚が与えられる。投げっぱなしというわけではなく、状況がきちんと提示され、心情も見て取れるところで、おおきく読者の気持ちを引きずり込むブラックホールのように、書かれていない文章が読める。
 この先、もうどちらかが消滅するまで殺し合うのだろうという気がしてならない。最後に回復するような、そんな甘い展開にはならないような気がする。じわりじわりと喪失を、手を変え品を変えて描いているのだろう。続きを読むのが、少し怖い。