日本人の技術はどこから来たか

 技術ってなんなんだー!? と、小学生かのような疑問を最近はずっと抱えている。そんな中で古本屋で目に付いた本書。
 ただ、あまり面白くはなかった。
 それなりのことは言っているのだが、どうも論理が自儘なのだ。いいとこの大学で学生やったあとにそのまま教授とかになっちゃって挙句は政府のなんかの委員会とかに入っちゃった人(というのが著者の経歴らしいが)にありがちなものである。
 そんなわけで超展開ありありなのだが、視点としてはよく技術に目を向けていると感じた。
 真似の技術とか新しいものを作れないと言われながらもメイド・イン・ジャパンをブランドとして確立できた、そのわけは、というのが話の骨子であろう。そして、情報技術に時代が移り、またいまいち日本の技術は良くなくなってきているところに、どうすれば盛り返せるのかを模索するような、印象もある。
 とはいえ、私自身が職場で感じるのは、汚いプログラムという負の資産によって、いっそう日本の情報技術は腐り果てていくということだ。
 前半で著者の考えが述べられ、後半では歴史上の人物を取り上げて、彼らのことを書いているが、ここでどうも内容がぼやけるように思う。結局、著者の言う不易と流行という話とどう絡むのか、そのあたりをより克明にしてほしかった。
 総括して、何が言いたいのかぼんやりだなあという印象が残った。