鉄道廃線跡の旅

 世田谷文学館宮脇俊三の展示を見に行ってきました。その場で購入した本。
 先に鉄道に乗る話を読んだので、いわゆる乗り鉄という人かと思っていた。なので廃線跡の旅というので、これはまた一風変わって面白いかと読んでみた。鉄道にはこんな楽しみ方もあるのだな、と思った。
 1995年から1999年に著者が探訪した廃線跡の紀行だ。著者は1926年生まれ。70歳前後になって、なおも興味旺盛、健脚なことである。
 しかしそれでも、谷の奥や雑木の向こうに隠れたトンネルなどを探しに分け入ることはできずに、同行の編集者である大野さんだけが見たと書いてあるところは、どこか悔しそうにも感じた。思い過ごしかもしれないけれど。
 北海道の夕張から始まり、瀬戸内、鹿児島、東北、それに南大東島まで行き、他に北九州と北陸と、これほどの行動力と探究心が読者の旅を牽引する。
 表立っては書かれていないが、著者の心持ちが垣間見えるようであるところも面白い。風物の描写が的確なのだろう。
 よい旅でした。