ティンカー

 酷い。
 こんなものが出版されうることが信じがたい。
 同人誌も含めて今まで読んできた小説の中でも、最低の部類に入る。
 600ページを超える話は、だらだらと続くゆえであり、中途半端な情景描写と、整合性のない状況描写が、どこまでも読む気を失せさせる。
 それでも「サファイア賞」なる賞を受けているほどだから、と最後まで読んだが、どうしようもない。酷い。
 ハヤカワがこんなのを出すとは思わなかった。私のハヤカワに対する評価は本書で確実に下がった。
 また、この作者の本は二度と買わないだろう。
 この訳者の本も二度とは買わないだろう。ぎりぎり日本語になってはいるし、訳語を工夫している様子もあったが、小説作品の域にまで文章が洗練されてはいない。不自然な文もいくつか目に付いた。第一、読んでいてこれらのことが分かるようなものである時点で、どうしようもない。酷い。
 サファイア賞がどんな賞かは知らないが、何を評価したのだろう。この賞を今後は信用しないことにしようと思う。