俺たちの R25 時代

 フリーマガジン R25 の「BREAKTHROGH POINT 〜 つきぬけた瞬間」というコーナーを集めて一冊にしたもの。要するにインタビュー集。
 インタビューされているのは章ごとに、「挑む」7人、「鍛える」6人、「続ける」7人、「這い上がる」6人の合計で26人。中には私の知らない人も居たが、有名人ということだろう。あるいは活躍している人、まあこの括りだとジャンルが偏っていることになるけれど。
 300ページに収められているが、短いというわけではない。インタビューでの発言が全部収められているわけではなく、特徴的な言葉の間を編集者の文がつなぐ。なので、一度編集者の視点を通して見ることになるため、その見方に同調できるかどうかで、本書の評価が変わり得るとは思う。
 もしくは、脳内補完のスキルが要求される。文脈を作り出しているのは編集者の言葉なので、インタビューされている人の言葉はバラバラで、それが何を言い表しているのかとか、どういうことを踏まえての言葉なのかを読みながら考える必要がある。とはいえ上手く編集されているようで、ときどき立ち止まった覚えはあるが、そんなに読むのに苦労はしなかった。
 インタビューされている人には、ああもう、書きにくいな、インタビュイーという語を使おう。インタビュアーとインタビュイーは、エンプロイヤー(雇用者)とエンプロイイー(被雇用者)の関係と同じです。スペルは間違えそうだから書かない(苦笑)
 で、インタビュイーには、俳優やミュージシャンが多い。というか、テレビに良く出ているような人たちが多い、と言えるか。少し意外なのは、スポーツの人が少なめだったこと。九重親方吉田秀彦の両氏がスポーツのみの人だと思う。ガッツ石松藤岡弘といった俳優もやっている人も居るが、個人的にはもっとスポーツの人ってのは脚光を浴びるものかと思っていた。どういう人選でインタビュイーが決まっているのか、気になるところではある。
 最も変わった肩書きを挙げるなら「(株)ハドソン社員」だろう。社員だ。名前は高橋名人。ゲームをほとんどやらない私でも名前は聞いたことがある。
 つまり、ちょうど今25歳といった年齢の人たちが子供の頃に、20代だったり(もちろんそれ以上の人もいるし、もう少し下の人もいる)して、盛んに活動していた人たちといえるかもしれない。乱暴な括り方だとは思うけれど。だから、読んでいて、子供時代に受けた影響(文化といってもいいかも)の発信者を知ることができて、面白い。アレをやっていたのはコウイウ人で、そのときコウだったのか、ということを知れるのが面白い。
 というわけで今25歳(20代くらいかな)よりも下の年齢の人が読んでもそういう面白さは無いだろうが、ただ言葉それぞれは濃いので、含蓄を感じてみるのもいいだろう。個人的には、インタビュイーと同年代の人が読んでどう思ったのかを聞いてみたい。