学校の階段

 面白い! なんというか、最初タイトルを見たときには手に取る気にもならなかったけれど、次に見かけて何故か背表紙の紹介文を見て、惚れた。そんでもって、読んでみて、もっとコメディタッチなのかと思っていたが、実際はそれよりも骨太で、実に面白かった。
 てっきりおバカな話がしっちゃかめっちゃか展開されるのかと思いきや、あちらやこちらにぶつかりながら、生きている主人公。登場人物は、どちらかといえば(特に主人公の家は)なんだかなー、なところではあるものの、それがただの設定に終始していなくて、誰もが連関していて、ストーリーの中で機能している。そのためか、割合と最初に感じた、なんだかなー、は、読後には薄れたように思う。
 レースは熱いし、二つの山場のどちらも飽きずに読める。巧い。
 そして終わり方。この結末は大いに評価に値すると思う。ひとひねり加えたというわけでもなく、また蛇足でもなく、極めてその年齢をあらわすのに相応しいと思う。
 最後に、本書裏表紙の紹介文から一節、引用しよう。
「ビバ青春の無駄足! 真正面から「若さ」を描く」
 まさに、でした。