ひだまりゼリー

  • 著者:浅野真澄
  • ジャイブ株式会社
  • ジャイブ
  • 2005年9月1日初版発行 2005年10月13日第2刷発行

 エッセイの見本、というか、王道?
 著者である浅野氏になんて別に興味ないよ、という人でも、十分に楽しんで読めるだろう、よく練りこまれた構成や表現で綴られる。
 20篇の並べ順も巧みだ。
 ページ下少しの部分の空白がなぜあるのか気になったりはしたけれど、まあそれはそれとして。や、註とか入る場所なのは知ってるけど、この本には無かったし。
 そういう点では少々値が張るように思わなくもないが、造本もしっかりしているし、カラー写真も無駄なく配されていることを考えると、妥当なのかもしれない。
 浅野氏は声優なのだそうだ、というのは嘘で、実は氏のデビュー作という「破邪巨星ダンガイオー」は見ていた。氏を認知してはいなかったけれど。しかし、本書には声優としての生活については、あまり書かれていない。あとがきにて記されているように、氏の記憶を記述したものといえる。特に子供時代から学生の期間について。だけれど、単に覚え書きに留まらず、読み物としてのレベルに高められている。エッセイはたぶん、読み物になる一線を越えるのが、たいへんで重要なのだろうな、と思う。
 さて、内容についても少し触れよう。……と思ったがやめた。これは是非、読んだほうがいい。本人以外の言葉で語ってしまうと、なんだか何でもないことになってしまいそうな気がする。浅野氏の言葉を直接受け取ってほしい。
 だというのに書店でなかなか見つからなかった。ジャイブさん頑張って、もっと!