「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか

 面白い、実に。
 論旨は第二部の方だろうから、「なぜ敗れるか」の答えを知りたければそっちだけ読めばいいだろう。第一部と第二部は、どうも乖離しているような気がする。第一部は、日本のまんが/アニメというジャンルについての時間軸に沿った解説になっていて、これが実に面白い。一方第二部は金勘定が主になる。
 第二部は、なんだかんだ言っても宮崎駿以外には大して儲かってないわけだから国策とか言って大騒ぎするようなもんじゃないだろ、という感じだと思う。ハリウッドによる回収という話も出ているし、危機感を提示しているわけで、それなりに重要な話ではあるものの、私には第一部の方が興味深かった。
 第一部には戦前から手塚治虫を経てそのあと少しくらいまでを、キャラクターに焦点を当てて語っている。戦時下の表現とか、身体性についてとか、とくに後者は以前から大塚氏が言っていたことでもあるけれど、歴史的に位置づけることでいっそう際立って見えた。
 死を描くということ、また、死の描き方についても、少し考えてみたい。
 ところで、表紙の大塚氏の肩書きが評論家ではなくまんが原作者になっている点からは、やっぱり何か読み取ったらいいのかな。