生協の白石さん

 もちろんネタとして買った。
 しかし、普通に良い本だった。すごいぜ白石さん!

 いろいろと難しげなことが書いてある長文の部分はまあそこそこではあるけれど、最も注目したのは、私でも事前に知っていたほど有名な「リュウとケン」の回答についての裏話めいたものが語られていた部分。なるほど、運営て難しいというか、商魂逞しいというか、場をうまく方向付けるための苦労がこういう回答群を生み出したということらしい。

 小難しいことは本書の冒頭と末尾で偉い人が語ってるぽいので、私は簡単に少し。
 ヘンテコな質問には「お答えできません」で済む。それなのに、丁寧に答えてくれたから、そういった一言カードが増えたという話が本書にはあったが、逆ではどうだったのか、ということについて。
 回答者、すなわち白石氏が一人だったことに「お答えできません」で済まさなかった因を見出してみようかと思う。私が出た大学の生協でも「ひとことカード」の掲示板があったが、回答者は複数人で、そこでは「お答えできません」回答も見られた。この違いにおいて、集団に個人を仮託して回答する(署名は個人名だけど)という屈折を経ることによって質問者と回答者の距離が開き、それゆえニベもない回答が出せ、反対に白石氏がそうでなかったということができるのではないだろうか。
 まあ、どうでもいいことかもしれない。
 しかし、何にしても良い本だ。少々値が張る気がしなくも無いが、まあ。