果心居士の幻術

 短編6作が収録されている。

 解説は山崎正和
 書かれている時代背景はそれぞれだが、どれもさすがの俯瞰と近視で、こちらが幻術にかかっているようなものだ。浸み込むようにその時代へ導かれ、浸み出すように語り終える。
 どの作品も幻惑が絡む。意識が揺らぎ、登場人物の認識が曖昧化する、それが人間らしい。