蒼穹のカルマ1

 そういえば、暫くファンタジア文庫を読んでいなかった気がする。やっぱり前の表紙デザインの方が好きだ。他と同じようになってしまってはつまらない。くだらない。
 さてそれはともかく、本作は第20回のファンタジア大賞の準入選受賞作ということで、それはもう期待していた。ファンタジア大賞といえば、真の名作にしか大賞が贈られずその数も少ない。準入選だと次点になるが、歴代の準入選作は勢いのある面白い作品ばかりで、他の賞なら大賞になりそうなものが揃っているというのが私のイメージである。最近はどうか良く知らないので、読んでみようと購入した次第。
 期待のせいか、そんなに面白くは感じなかったが、悪くないとは思う。
 どうにもご都合主義の超展開が続くので、途中は飽きるのだが、そのおかげで盛り上がるところは大いに盛り上がる。賞の質が、落ちたのか変わってきているのか、少し首を傾げる感じなのは正直なところではある。終わり方も、とってつけたように感じるし、普通に授業参観に行ってどうだったかというのが綺麗に落ち着くと思う。なにしろ読者としては駆真の望みと情けを同じくして、読み進めることも盛り上がることもできるのだから。あと単に在紗のダンス姿が見たかったというのもあるけれど。
 文章とキャラクターは良いのだから、ちゃんと話を作れば良いのにと思った。