半分の月がのぼる空2 waiting for the half-moon

 相変わらず、である。しかしまあ、前巻よりはページの黒さも増してはいる。
 とはいえ、表現としては痛いときに「痛い」と書き、可愛いというのに「可愛い」と書いているだけで、それの繰り返しを改行入れずに書いているから黒いだけのようでもある。
 しかし、この話が嫌いになれないのは、登場人物に移入してしまいやすいからではないかと、ふと思った。主人公に同一化することも、そんなに難しく無いと思う。あまり深く描写されていないから、かもしれないが。もうひとつ、里香を可愛いと思えるのなら、それでこの話は楽しめるだろう。
 前述の通り、可愛いといっても可愛いくらいの表現しかなされてなく、その点だけを見ればさして読んでいてもそうは思わないような気もするが、シーンを作り上げているし、心理的な著しい変化をつけることで、わざとらしさや陳腐さをしのいで移入しやすく、可愛いと思いやすくなっているように思う。主人公に同一化しやすいと感じるのにも、わかりやすいシーン、単純な展開が助けになっているからとも思える。
 この巻では、あまりにも分かりやすくて「早く過去を告白してくれないかな、見え透いてるから引っ張られるとイライラするよ」と思うような、あからさまな敵役あるいは味方役(もしくは、のちに味方役?)みたいな人も出てきているので、さらによりよく今後の展開が見えてきて、そのへんを気にすることなく(つまり、どうなるんだろ、とハラハラドキドキすることもなく)落ち着いてかダラダラとか、とにかくまあのんびりと読んでいけそうである。
 まあ、とりあえず続きを読むことにする。