ヤングガン・カルナバル

  • バウンド・トゥ・バイオレンス
  • 著者:深見真
  • イラスト:蕗野冬
  • 徳間書店
  • TOKUMA NOVELS Edge
  • 2005年10月31日初刷

 前作については、オンライン文芸マガジン『回廊』の四号か五号に書いたような記憶がある。
 本書の面白味のひとつが、帯の文句だ。前作では「本物のアクション作家が誕生」と押井守監督推奨の文字。本作では「誰かコイツを逮捕してくれ」と山下卓氏激賞だそうな。両氏の言葉は非常に的確だと思う。
 さて、本編についてだが、実に映画っぽい。特に前半の構成は時間軸を行ったり来たりして、二人の主人公の二つの物語を語るのには上手い方法だと思った。どうせ二つの物語がバラけているなら、別方向からもバラけさせてしまえば複雑さに埋もれて二つの物語の乖離感が薄れるというわけだ。
 といっても、前作に比べて二人の主人公の話は別物となってはいない。可能な限り絡められている。正直言って前作の読了後、続きが出ても買わないだろうなと思ってはいたが、ふと書店で見かけ、ふと手にとって、ふと買ってしまい、ふと読んでしまったが、本作の方が面白かった。まあレズっ気は前作より薄い気がするので、そういう方面を楽しみに読むと、そうでもないのかもしれない。
 前作では鉄美弓華の方にどちらかというと重点が置かれたが、本作ではほぼ同等のようで、わずかに木暮塵八について重点的に語っている。登場人物も増え、今後ますます話は加速していくことになるだろう。第三弾が来春刊行予定だそうなので、きっとまたふと買ってふと読むことになりそうな気がする。
 ダニエラ可愛い。