午前零時のサンドリヨン

 ニュートリノ
 酉乃さんが大好きな須川君が語る、日常の謎みたいな何かの話なのだけれど、謎やらはともかく、須川君の視点なので、酉乃さんが美人で可愛くて可愛くて仕方ない。
 前半はそんなわけで、酉乃かわいいよ酉乃で読み進め、四篇に分かれているうちの半分ほどを読み終える頃は、まあまあだし、瑕が無いから受賞できたくらいの作品かと思っていた。ストーリーにしても奇抜すぎることもなくバランスがとれているし、説教くさくなるギリギリ手前で止まっているように感じられる語り口だと思う。そんなわけで三篇目での出来事は、ストーリーのパーツとしては綺麗に配置されていると思ったし、酉乃さんへの思い入れから可哀そうには思ったが、さほど心揺さ振られるということも無かった。
 しかし最後あたりの走る須川君は実に良い。そこから先の盛り上がりは充分に楽しめるし、やっぱりストーリーの作りが巧いなあとも思った。そういえば最後の犯人(?)は少し意外ではあったけれど、それよりも曲のインパクトが強い。格好良い登場でもあるし、曲調の描写も鮮やかだった。
 須川君ではないけれど、酉乃さんをもっと見たいと思う。
 しかしそれにしても須川君、太腿とか太腿とか見すぎである。うらやましい奴め。